感謝
Gratitude かんしゃ
定義
感謝(Gratitude)とは、他者や出来事から自分が恩恵を受けたことに気づき、「ありがたい」と感じるポジティブな感情、およびそれを感じやすい態度のことです。ポジティブ心理学では、ウェルビーイングとの関連が最もよく研究されているテーマの1つで、感謝日記などの実践方法が検討されています。
意味と背景
感謝は、単なるマナーとしての「お礼」ではなく、自分が受け取っている恩恵に気づく心の働きとして研究されています。心理学では、その瞬間に生じる感情としての感謝と、日頃から感謝を感じやすい特性としての感謝を区別します。
ポジティブ心理学の初期から、感謝は代表的な研究テーマでした。「よかったことを3つ書く」「お世話になった人に感謝の手紙を書く」といった実践は、ポジティブ心理学的介入の定番として知られています。
感謝が注目される理由の1つは、ポジティブ感情を高めるだけでなく、人と人との関係を強める社会的な機能を持つ点にあります。
研究では何がわかっているか
感謝の高さは、人生満足度やポジティブ感情の高さ、抑うつ感の低さと関連することが多くの研究で報告されています。感謝日記や感謝の手紙といった介入の効果を検討したメタ分析では、ウェルビーイングに対する小〜中程度の効果が示されています。睡眠の質や向社会的行動との関連を報告する研究もあります。
一方で、初期の有名な研究には効果が誇張されていたという再検証もあり、効果量は当初の印象より控えめです。義務感で行う感謝は逆効果になりうるという指摘や、うつ症状が強いときには効果が出にくいという報告もあります。
実践のヒント
- 週に1〜2回、「今週よかったこと」を3つ、理由とともに書く(毎日でなくてよい)
- 「もしこれがなかったら」と想像してから、いまあるものを眺めてみる
- お世話になった人に、具体的なエピソードを添えて感謝を伝える
関連用語との違い
ポジティブ感情は喜びや安心などを含む広いカテゴリで、感謝はその1つです。ただし感謝は「恩恵の送り手」を意識する点で、対人的な性質が強い感情です。楽観性が未来への良い見通しであるのに対し、感謝はいますでに受け取っているものへ目を向ける働きといえます。