成長マインドセット
Growth Mindset せいちょうまいんどせっと
定義
成長マインドセット(Growth Mindset)とは、「知能や能力は固定されたものではなく、努力や学習によって伸ばせる」という信念のことです。 心理学者ドゥエックが提唱し、能力を変えられないと考える「固定マインドセット」と対比されます。
意味と背景
成長マインドセットは、スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエックが提唱した概念です。もともとは「暗黙の知能観」の研究として始まり、人が自分の能力をどうとらえているか(伸びると考えるか、固定的と考えるか)が、挑戦への態度や失敗への反応に影響するという理論に発展しました。
理論によれば、成長マインドセットを持つ人は、失敗を「能力の証明の失敗」ではなく「学習の材料」ととらえやすく、難しい課題にも挑戦しやすいとされます。教育現場では「結果ではなく努力やプロセスをほめる」といった実践に応用されてきました。
研究では何がわかっているか
初期の研究では、マインドセットへの介入が成績向上と関連するという報告があり、教育界で大きな注目を集めました。しかし、その後の検証で見方はより慎重になっています。
2018年のメタ分析(Sisk らによる研究)では、マインドセットと学業成績の関連も介入の効果も平均すると小さいことが示されました。また、米国の大規模再現研究(全米の高校生約1万2千人を対象としたNational Study of Learning Mindsets、2019年)では、短時間のオンライン介入の効果は全体として小さく、主に成績の低い生徒に限って成績のわずかな向上が見られました。
つまり、成長マインドセットは「誰にでも効く万能の教育法」ではなく、「特定の条件下で小さな効果を持ちうる介入」と理解するのが現在の誠実な要約です。一方で、低コストで害の報告が少ない介入である点を評価する研究者もいます。
実践のヒント
- 失敗したとき「能力がない」ではなく「まだできていない(yet)」と言い換えてみる
- 結果だけでなく、工夫や過程に注目して振り返る・声をかける
- 「信念を変えれば伸びる」と過信せず、学習方法や環境の改善と組み合わせる
関連用語との違い
グリットは長期的な努力の継続という行動傾向を指し、成長マインドセットは能力についての信念を指します。自己効力感は「この課題ならできる」という具体的な確信で、能力一般が伸びるかどうかという信念とは焦点が異なります。